アーモンドアレルギーの表示義務と使用の可能性がある加工品

アーモンドコラム
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2019年9月、「食品表示基準について」の一部改正で、アーモンドがアレルギー表示が推奨されている特定原材料に準ずるものとして追加されたのは、記憶に新しいと思います。

アーモンドを含むナッツ類、ピーナッツのアレルギーは症状が比較的重篤で、耐性も獲得しにくいこともあり、年々発症率が上昇しています。

アーモンドはそのものを食べるだけではなく、加工品としても使われていますので、知らず知らずのうちに摂取してしまう可能性が高い食品です。

実は、「準特定原材料」は「可能な限り表示をするよう努めること」とされいて、表示の義務はないんです。

原材料に含まれていても表示されていない可能性がありますので、特に注意が必要なんですね。

ナッツアレルギーでアドレナリン自己注射薬(エピペン)を携帯している筆者が、アーモンドアレルギーについて日常生活で気を付けたいポイント、注意点などをまとめます。

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アーモンドアレルギーとは?

アーモンドアレルギーを含むナッツアレルギーは、耐性を獲得しにくいアレルギーと言われています。

食物アレルギーの耐性化とは、アレルギーの原因食物に対する免疫学的不応答(免疫寛容)を獲得することなのですが、その発症要因と耐性化については、未だ不明な点が多いのが現実です。

アーモンドのアレルギー表示

今回アレルギー表示が見直しされる以前、「特定原材料7品目+準特定原材料20品目」の27品だったのが、アーモンドが追加され「特定原材料7品目+準特定原材料21品目」の28品になりました。

 

<義務品目>特定原材料7品目 <推奨品目>特定原材料に準ずるもの21品目
必ず表示されるもの 表示が勧められるもの


小麦
そば
落花生(ピーナッツ)
えび
かに
アーモンド・あわび・いか・いくら・オレンジ・カシューナッツ・キウイフルーツ・牛肉・くるみ・ごま・さけ・さば・大豆・鶏肉・バナナ・豚肉・まつたけ・もも・やまいも・りんご・ゼラチン

アーモンドが追加された理由の一つは、2017年のアレルギー症例の調査で、4851例の中でアーモンドに起因するものが21例あったからだとされています。

アレルギー症例表

出典:平成30年度調査事業報告書 図2原因物質より

6年前にも調査が行われたのですが、木の実類のアレルギー症例が8.2%も増加し、小麦に次いで4位になっています。

原因食物 区分 24年度 27年度 30年度 対応
くるみ 即時型症例数 40 74 251 義務化を視野に入れた検討
ショック症例数 4 7 42
アーモンド 即時型症例数 0 14 21 推奨品目への追加検討
ショック症例数 0 4 1

第56回消費者委員会食品表示部会 資料4より

アーモンドアレルギーは木の実類の中で5.3%なのですが、症例の21件はカニに比べても多いんです。

先ほどもお伝えしたように、アーモンドを含む「準特定原材料」は表示の義務はなく、「可能な限り表示をするよう努めること」とされています。

アーモンド・カシューナッツ・くるみは、袋詰めされている加工食品であっても「アレルギー表示されていない場合がある」ということはしっかり覚えておかなければいけません。

参考資料:「食品表示基準について(第17次改正)」「食品表示基準Q&A(第9次改正)

アーモンドアレルギーだと他のナッツ類も食べられない?

アーモンドは「ツリーナッツ(種実類)」に分類されます。ピーナッツは豆類なので、ツリーナッツ類には分類されません。

科目 食品
ウルシ科 カシューナッツ、ピスタチオ
クルミ科 クルミ、ペカンナッツ
バラ科 アーモンド
カバノキ科 ハシバミ(ヘーゼルナッツ)
サガリバナ科 ブラジルナッツ
ヤオギリ科 カカオ
ヤシ科 ココナッツ
マメ科 ピーナッツ

では、アーモンドアレルギーがある方で、その他くるみやカシューナッツなどのツリーナッツにアレルギー症状が出現する方がどのくらいいらっしゃるかというと。

ピーナッツ、アーモンド、クルミ、カシューナッツのいずれかにアレルギーがあると診断された小児科に受診の115人のうち、ピーナッツ、アーモンド、クルミ、カシューナッツの中で複数にアレルギーがある方は11人(9.6%)という報告があります。

出展:ピーナッツ・ナッツアレルギー患者における複数のナッツアレルギー併発に関する検討 あいち小児保健医療総合センターアレルギー科

9割ほどの方がピーナッツ、アーモンド、クルミ、カシューナッツのうち1つにのみアレルギー症状があるとの内容になっています。

あくまでも小児の報告なのですが、ピーナッツ、ツリーナッツ類でアレルギー症状がある方の1割は、複数のナッツアレルギーがある可能性があります。

バラ科の果物

アーモンドはバラ科の植物で、可食部はその種になります。

バラ科の主な果物は、杏・りんご・イチゴ・桃・サクランボ・梅・プラム・梨・ビワ・プルーンなど。

バラ科の果物アレルギーの症状がある人は、以下のような果物や野菜などでもアレルギー症状があらわれる可能性がありますが、全てを除去する必要はありません。

除去しなければならない食物を最小限にとどめることが肝要ですので、しっかりと医師に相談してください。

バラ科(リンゴ、西洋ナシ、サクランボ、桃、スモモ、アンズ、アーモンド)・セリ科(セロリ、ニンジン)・ナス科(ジャガイモ)・マメ科(大豆、ピーナッツ)・マタタビ科(キウイフルーツ)・カバノキ科(ヘーゼルナッツ)・ウルシ科(マンゴー)・シシトウガラシなど

花粉症の症状はありますか?

シラカンバ、ハンノキ、オオバヤシャブシなどの花粉によって花粉症の症状が出る人は、バラ科の果物でアレルギー症状が起こる可能性があると言われています。

アーモンドアレルギーかも?と思われる症状

  • じんましん・発疹
  • 口・くちびるの腫れ・かゆみ
  • 口腔内の違和感
  • しびれ
  • めまい
  • 吐き気・嘔吐
  • 腹痛・下痢
  • 顔面蒼白
  • 呼吸困難 など

これらの症状は摂取直後から発生することが多く、 アナフィラキシーショックは、アレルゲンを摂取してから15分以内に起こると言われています。

アーモンドアレルギーで注意が必要なこと

アーモンドなどナッツ類は、加工されて粉末状やペースト状になっていたり、調味料として少量が使用されている場合があります。

アレルギー表示や原料表示されていないこともあり、判断するのがとても難しいですよね。

また、袋詰め・瓶・缶詰加工されていない食品(お惣菜や生菓子、パンなど)にも注意が必要です。

さらにアーモンドは食用だけでなく、アーモンドオイルとして皮膚に塗るキャリアオイルとしても使用されています。

アーモンドが含まれている可能性がある加工品

  • チョコレート
  • クッキー
  • メロンパン
  • 杏仁豆腐
  • ココア調製品
  • 豆板醤、豆鼓醤、甜麺醤などのペースト
  • ケーキの生地
  • 洋菓子全般(マカロン・フロランタン・タルト生地・マジパン・ポルボロンなど)

【アーモンドが原料になっている加工品】

  • アーモンドプードル(アーモンドパウダー)
  • アーモンドミルク
  • アーモンドエッセンス
  • アーモンドクリーム
  • アーモンドオイル

ナッツアレルギーの方は、洋菓子を特に注意されているのではないでしょうか?

洋菓子類に含まれる「〇〇パウダー」という表記には、アーモンドが微量に混入しているケースもありますし、中間加工原材料で、「ココア調製品(砂糖、ココア、その他)」と表示されている場合、「その他」にアーモンドパウダーが入っている場合もあります。

杏仁豆腐で使用される杏仁は、杏の種からできていますが、アーモンドと杏は元々同じ木が変化してできた品種です。そのため、アーモンドと香りが良く似ていて、アーモンドエッセンスを使用して作られている場合があります。

アーモンドなどナッツ類はペースト状に加工して利用されている場合も多いですよね。味にコクを出すために、ドレッシングや醤(ジャン)などの隠し味として使われているケースもあります。

そのため、加工品の場合は製造メーカーにしっかりと確認する必要があります。

パッケージされていない加工品や、飲食店などではお店の人にアーモンドが使われていないか確認してもらう必要があります。

個人的に言えば、あの原料表示の文字が小さすぎると思うんですよね・・・

アレルギーがあると、食べられる食品に限りがあり、加工品選びも慎重に行わなければいけません。

もしかして混入しているんじゃないか?って不安があると、加工品の選択肢も狭まります。

もっと安心して食べられるように、アレルギー表示や原材料表示を明確にしてもらいたいものですよね。

厚生労働省・日本アレルギー学会の「アレルギーポータルサイト」

厚生労働省と日本アレルギー学会は、「アレルギーポータルサイト」公開して、アレルギー疾患医療などに関する正しい知識の情報を提供しています。

 

 

アーモンドアレルギーかな?と思ったら

アーモンドアレルギーかもしれない症状が出た場合は、すみやかにかかりつけの医療機関を受診してください。

かかりつけ医が、専門的な検査や治療を行う医療機関(アレルギー専門医)を紹介してくれますので、その指示に従ってください。

アレルギーの原因食品を判断するのに、問診は重要な役割をしています。

症状が現れたときは、直前の食事や症状をメモして問診を受けるようにしてくださいね。

【 問診で伝えること 】

  1. 原因と思われる食品をどれだけ食べたか(食事の記録)
  2. 食べてから発症までの時間と症状の持続時間
  3. 症状の特徴(皮膚、消化器、気道、口腔、全身)
  4. 症状の再現性(同じ食べ物で同じ症状)
  5. ほかの病気の有無、飲んでいる薬
  6. 家族のアレルギーの有無

引用:群馬県のホームページ「正しく知ってる?食物アレルギー

アーモンドアレルギーは、アーモンドを除去することが大切です。

口にしないだけでなく、触れないことも重要。そして、周りの協力も必要です。

症状がある場合は、家族や周囲の人に伝えてアレルゲンを近づけないように心がけてくださいね。

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